相場考察

【相場考察】米CPI下振れとRBNZ利上げによる「巻き戻し」|トレンド転換とポートフォリオへの影響

相場考察

今週の相場考察では、7月中旬に重なって起きた「米ドル高の巻き戻し」と「NZD(ニュージーランドドル)高の進行」という、2つの大きなトレンド転換について整理しておきたいと思います。

先月末にかけて、相場は「強い米経済を背景とした猛烈な米ドル高」に支配されていました。

しかしここ数日で、その景色は一変しています。米国のインフレ指標が下振れたことで急激な「ドル売り」が発生し、さらにニュージーランドでは約3年ぶりとなる「利上げ」が実施されたことで、相場の大きな逆回転が起きています。

この「トレンドの巻き戻し」は、一見すると不穏な相場急変に見えるかもしれません。
しかし、複数通貨ペアを分散運用するポートフォリオにおいては、単なる「役割交代」のサインにすぎません。

今回は、足元で起きている2つの変化の背景と、実運用ポートフォリオで起きている決済と仕込みの循環について解説します。

■ 米CPI下振れで「ドル高」の前提が揺らぐ

相場反転の最大の引き金となったのは、7月14日に発表された米国の6月消費者物価指数(CPI)です。

結果が市場予想を下回る鈍化を示したことで、これまで市場を支配していた「FRBの高金利が長期化する」という観測が一気に後退しました。
これにより、行き過ぎていたドル買いポジションの強烈な巻き戻し(利食い・損切り)が発生し、為替市場は急激な「ドル安」へと傾いています。

先月までUSD/CHFなどを力強く押し上げていたドル高トレンドが、ここに来て明確な調整局面に入ったと言えます。

■ RBNZの利上げ決行と「NZD高」の進行

もうひとつの大きな変化が、オセアニア側で起きています。

7月8日、RBNZ(ニュージーランド中銀)は金融政策委員会で政策金利を0.25%引き上げ、2.50%とすることを決定しました。これは約3年ぶりの利上げとなります。

6月上旬の相場考察において、「NZはタカ派姿勢を見せているため、豪州との金利差が縮小に向かう可能性がある」と指摘していましたが、まさにそれが現実となった形です。
この利上げを好感し、為替市場ではNZDが強く買われる(NZD高)展開となっています。

つまり今は、

  • 米国のインフレ鈍化による「ドル安への巻き戻し」
  • NZの利上げ決行による「NZD高の進行」

という、これまでの相場を牽引してきた2つの大きな前提が、同時に逆回転している状態です。

■ 私の運用との関係:「巻き戻し」が生む決済と仕込み

このような相場の逆回転は、私のポートフォリオにおいても明確な変化をもたらしています。

1. AUD/NZD(豪ドル/NZドル)の下押しとレンジへの接近
RBNZの利上げによるNZD高進行を受け、AUD/NZDは下値を切り下げる展開となっています。私の運用では上側にレンジアウトした状態が続いていましたが、両国の金利差縮小というファンダメンタルズの変化により、再び設定レンジ方向へ戻ってくる可能性が意識される局面に入りました。

2. ドル絡みペアにおける「役割の交代」
先月まで「ドル高」の恩恵で決済を量産していたUSD/CHF(買いのみ)は、今回のドル売りによって下落し、「新規建玉(仕込み)」のターンに入りました。
一方で、ドル高局面で建玉を拾っていたUSD/CADなどは、今回のドル安への巻き戻しによって利益確定(決済)のターンへと向かう動きを見せています。

■ トレンド転換は自動売買の「好機」である

裁量トレードであれば、自分が信じていたトレンドが崩れる瞬間は恐怖でしかありません。「損切りすべきか」「ドテン(途転)すべきか」と迷いが生じます。

しかし、リピート系自動売買において、一方向のトレンドが反転することは、「それまで仕込んでいたポジションが利益に変わり、代わりに逆方向のポジションを仕込み始める」という、極めて健全なサイクルの移行にすぎません。

相場に永遠に続くトレンドはありません。
だからこそ、「上がったら下がる」波を前提としたレンジ設定と、資金管理の徹底が何よりも重要だと改めて実感する局面です。

■ 今後の注目ポイント

今後の相場を見るうえで重要なのは、以下の3点です。

  • 米国のインフレ鈍化が定着し、次回FOMCでの利下げ観測がさらに強まるか
  • RBNZの利上げが今回限りか、それとも追加引き締めを示唆するデータが出てくるか
  • AUD/NZDが明確な下落トレンドを形成し、実運用のレンジ内に復帰するか

米国のインフレ鈍化が本物であれば、ドル安方向の動きがさらに定着し、USD/CHFの仕込みがさらに進むことになります。
NZ側については、利上げの効果がどう経済に波及するかを見極める時間帯に入りますが、現時点ではNZDの下支え要因として機能しやすい地合いです。

■ まとめ

今週は、米CPIの下振れとRBNZの利上げという2つのイベントを契機に、これまで続いてきた「米ドル高」「豪州優位」という相場の前提が大きく巻き戻される週となりました。

私のポートフォリオにおいては、この巻き戻しによってAUD/NZDが下押しされ、USD/CHFが仕込みのターンに入るなど、設計通りの役割交代が起きています。

今後も焦って設定を変えたりトレンドを追いかけたりするのではなく、各通貨ペアが新しい相場環境でどの役割(決済か、仕込みか)を果たしているかを確認しながら、淡々と運用を続けていきたいと思います。

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